今回は「高血圧」について、話を進めていきたいと思います。このシリーズの第1回にも少し触れましたが、今回は「高血圧」だけに的を絞ってみたいと思います。
「高血圧」・・・一体どれぐらいの方がこの症状に悩まされているのでしょうか?ある調査によると、日本全国で約3,000万人、その内約1,000万人の方が降圧剤を服用しているようです。
「高血圧」は、原因が不明で家族性や遺伝的要因が高頻度に認められる「本態性高血圧」と、原因(疾患)が明らかな「二次性高血圧」に分類されます。そして、その割合は、「本態性高血圧」が約90%、「二次性高血圧」が約10%といわれております。
「二次性高血圧」であれば、原因となる疾患が明らかのため、その疾患の治療を行なうのが良いと思われますが、問題は「本態性高血圧」です。原因がはっきりしないため、降圧剤の服用や生活(主に食事や運動)指導が治療の中心となっているようです。
降圧剤の服用や生活習慣の改善が奏功し、血圧が正常値になり、長期的に薬に頼らずに安定すれば良いのですが、中には涙ぐましい努力をしても血圧がなかなか改善しない方もいると聞いております。
血圧が改善する方としない方、その違いは一体何なのでしょうか?
実は、ここでも「歯」と「かみ合わせ」は、非常に深く関与しているのです。では、一見何の関係もなさそうな「歯」と「高血圧」、一体どんな関連があるのでしょうか?
大きく分けて、二つの要因が関与しています。一つは「かみ合わせのバランスが悪い」、そしてもう1つは「歯に詰めた素材(樹脂や銀歯)の成分が身体に合わない(アレルギーを起こしている)」ということです。
この2つについて、それぞれ説明していきたいと思います。
先に、「歯に詰めた素材(樹脂や銀歯)の成分が身体に合わない(アレルギーを起こしている)」ということから説明していきます。
先日も当院で、「高血圧の改善」を目的とした方がおられました。治療を効率的に進めるため、先に「歯科素材アレルギー治療」を行ない、その次に「噛み合わせの調整治療」を行なうこととしました。
ところが、奥歯の銀歯を何本か、その方の身体に合う素材(このときは確か「金合金」)に変えたところ、血圧がほぼ正常値に近づきました。まだ奥歯には銀歯が残っている状態で、しかも歯を抜いたままの状態(欠損)の部位もありましたが、「高血圧の改善」という目的を達成したので、治療はこれで終了としました。主治医である内科の先生も首を傾げ、降圧剤も飲む回数が激減したようです。その方は大変喜んでおられました。
この症例では、「かみ合わせの調整」は一切行なっておりません。若干特殊な例かもしれませんが、「歯の詰め物」とはいえ、いかに身体に害を及ぼすか、思い知らされました。しかも、その方は金属をはじめ、食べ物や薬、花粉などのアレルギーは一切なく、銀歯に使われている素材が身体に合っているか調べたところ、「やや合わない」程度でした。もちろん、皮膚にもアレルギー症状(湿疹など)は一切ありません。歯を抜いたまま入れていない(欠損)の部位もあるため、私は、高血圧の原因として「かみ合わせのバランスが悪い」方がウエイトが高いのではないか?と思っておりましたが、その治療に移る前に、「高血圧の改善」という目的を達成できてしまいました・・・。
結局、この方の高血圧の原因は、「歯の詰め物が身体に合わない」ということでした。しかし、まだ銀歯は口の中に残っています。これも、治療により「全身の抵抗力」が、あわない素材(銀歯)の悪影響を上回ったため、と推察されます。まあ、このような場合は、加齢等の原因で抵抗力が弱くなると再発の恐れもありますが、再発したときに、また治療の続きをすればよいと考えます。これは、当院の治療方針で、「最小限の侵襲で最大限の効果を得る」ことを目的としているためです。
このように、全身の病的症状改善のため、治療計画を立てて治療を行なっていくのですが、その途中で症状の改善がみられた場合はそこで終了することも珍しくありません。
話が脱線しましたが、本題に戻ります。なぜ、「歯の詰め物」が血圧に影響を及ぼすのでしょうか?
口の中は、高温多湿で、しかも飲食物の温度やphの影響、さらに上下の歯が噛みあうといった物理的条件も重なり、「歯の詰め物」は分子・原子レベルの小さな単位で少しずつ溶け出します。口の中で溶け出せば、当然体内に吸収され、全身に様々な不快症状を起こすことが予想されます。そのような状況が、身体には「ストレス」となります。人間は「ストレス」を感じると、無意識(睡眠時など)のうちにそれを解消するため「歯ぎしり」や「食いしばり」をする、と言われております。
「歯ぎしり・食いしばり」が始まると、顎(あご)や首・肩周囲の筋肉が異常緊張を起こします。筋肉が異常緊張を起こせば、その中を流れる血液が停滞します。特に首周囲の筋肉は、脳から出た静脈血が多く流れているようです。その血流が滞れば血液が脳から出にくくなり、結果として脳に行く動脈血も滞ることが予想されます。
脳に行く血液が足りなければ、脳及び全身にダメージを受けるため、心臓は本能的に圧力を上げ、脳に血液を供給しようとします。
これが、「原因不明の高血圧」の原因であることも多いようです。
そして、「かみ合わせ」も、バランスが悪ければ「ストレス」となり、同じように「歯ぎしり・食いしばり」を起こし、首周囲の血流が滞り、「高血圧」の原因となる場合があるようです。
「高血圧」だけでなく、全身の様々な不快症状も、意外と「歯」との関連が多いようです。もちろん、「歯」だけが悪いわけではなく、他にも原因はある場合も多いですが、「歯」は全く無関係ともいえません。
こうしてみると、「歯」は、身体の健康に多大なる影響を及ぼします。「歯」が悪ければ、「健康」など有り得ない、と言っても過言ではありません。
これをお読み頂いた皆様も、「歯」と「健康」の深い関係を考慮し、治療を受けて頂くと良いと思います。